イベント情報

情報更新日 : 2018年3月29日

【イベントレポート】 シンポジウム 『歴史が導く災害科学の新展開』

2月10日(土)東北大学災害科学国際研究所多目的ホールにおいて、シンポジウム「歴史が導く災害科学の新展開」を開催いたしました。このシンポジウムは、東日本大震災をうけて展開された文化財や歴史資料の保全活動や、東北地方で過去に発生した歴史災害に関する研究の成果を報告し、史資料の保全・活用と文理融合型の災害研究を相互的に発展させるための意見交換を目的としておこなわれました。 
第1部では、まず今村所長から本シンポジウムの趣旨と、災害研究における文理連携の意義について、当研究所が実践してきた先進的な研究活動について述べられました。次に柳澤報告では869年貞観地震研究についての考古学研究における成果と争点について、後藤報告では地質学的観点から東北地方から北海道にかけて分布する17世紀前半の津波イベントの分析、蝦名報告では1611年慶長奥州地震津波に関する史料について歴史学的見地からの解釈について、さらに平野報告では土木研究の観点からみた北上川の開発史について述べられました。 
第2部では、菊池報告で歴史資料に基づく仙台湾岸における防災林の形成の歴史について、小野塚報告では神戸大学で実施している東日本大震災の被災史料の保全とそこから判明した被災地の歴史について、熊谷報告では行政文書の分析から唐丹村における昭和三陸地震津波の被害と復興について、川島報告では津波を伝える三陸地方の石碑や伝承、人々の暮らしについて述べられました。 
これらの報告をうけたコメントとして、奥村弘神戸大学教授は地域の災害の歴史や災害文化をこれからの防災に結びつけいくことの必要性、平川南人間文化研究機構理事よりこれからの災害研究において人文学の持つ意義が問われていること、その中における史料保全にむけた全国の史料ネットの活動や先日の3者連携の意義について述べられました。 
その後、今村所長と奥村教授をコーディネーターとして、登壇者によるパネルディスカッションが行われました。会場からの質問をうけて最新の研究状況や被災地での課題について、さらに文理融合の具体的な実践方法やその効果や将来の展望について議論が展開しました。閉会に際しては、当研究所前所長である平川新宮城学院女子大学学長から、これからの災害研究や文理融合の推進にあたり歴史学が大きな役割を果たす存在であること、全国的な史料保全は長年の大きな課題であり本事業の開始が大きな一歩であるという意義について述べられました。
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